株式会社トリパス(札幌市清田区)
・1961年設立
・従業員82名
・板金加工、機械加工、塗装の一貫受託加工、アウトドア製品の開発および販売、金属製品のデザイン開発、OEM/ODM生産
・https://tripath.co.jp/
コロナの流行期は、取引先の工場が操業を停止し、同社の本業である板金製造・加工部門の売上は、例年比で3割以上減少する月もありました。また、板金の原材料価格の高騰に加え、顧客開拓やルートセールスなどを対面による商談を基本としていたこともあり、法人営業の機会も大幅に減少し、収益的に厳しい時期が続きました。
同社では、多くの人に金属加工品を楽しんでもらう「タノシメタル」というコンセプトのもと、高い技術力を活かした商品開発と販売を行うアウトドアギアに関する新事業「TRIPATH PRODUCTS」を2019年4月に立ち上げました。コロナ禍では、製品の売上が減少していましたが、三密を避けられるアウトドアが次第に注目されるようになり、同社の高い技術力によって製造された焚き火台などの製品は、斬新で無骨なデザインが主に20~40代の男性ユーザーの心をつかみ、道内外だけでなく、台湾や香港といった海外からも引き合いがあるなど、販路を拡大しています。
また、杉本社長が「ウィズコロナ時代は、新製品開発の契機」と語るように、2022年4月、新たにガーデニング製品「TRIPATH NIWA CLUB」を展開し、ガーデニング分野にも新たな風を吹き込んでいます。
同社の板金製造・加工部門では、対面で実施されていた商談会が依然として回復しない現状を踏まえ、若手社員がポータルサイト「BANKIN LABO」を立ち上げました。これが、自社の製品や提案事例を食品や医療等の分野ごとに紹介するB to B商材となり、同社への相談や問合せが増加。営業機会の創出にもつながっています。
実は、自社ブランド「TRIPATH PRODUCTS」も社員の発案による企画。杉本社長が「社員には、伝統技術の習得にとどまらず、新しいことにも積極的に挑戦してもらいたい。仕事のやりがいが新しい着想にもつながると考えているので、会社として全力でサポートしていきたい」と語るように、今後も人材の育成に力を入れ、質の高い製品づくりを目指します。
当社では、「少数の人たちに刺さる製品」を造っており、コロナ禍であっても、先人から受け継いできたものづくりの精神は変わらず、社員の柔軟な発想が加わることで、これまで以上にクリエイティブな板金製造・加工を行っていけると考えています。
コロナ禍では、特にSNSを活用した情報発信が重要であると考えているので、自社製品を国内外に向けてPRする「金属創造会社」となれるよう、日々取り組んでいきます。