十勝シティデザイン株式会社(帯広市)
・2014年設立
・従業員26名
・ホテル、クラフトビール、馬車BAR、短編映画制作等の事業
・https://www.nupka.jp/
同社の主軸であるホテルと飲食は、インバウンドと道内外のビジネスユースが中心だったことから、コロナ禍により大きな打撃を受けました。さらに、十勝の食の魅力を発信するため、チーズやバターなどの乳製品を取り扱うショップの開業を予定していましたが、先行きが不透明なことから延期を決断しました。また、人が集まるセミナーやイベントの実施も困難となり、使用する機材や備品の保管コストなどが膨らみました。感染状況により、対応が都度変化することもあって、現在でも運営オペレーションに影響が出ています。
同社では、コロナ禍で注目されていたワーケーションに着目し、2020年11月、帯広市、第一生命保険、同社の3者によるワーケーション推進連携協定を締結しました。そして、改修工事が決まっていた第一生命保険帯広支社のビル内にフリースペースのコワーキングラウンジを備えた「NUPKA Hanare」を2021年4月にオープン。多くの企業でテレワークが普及したことにより、従来の首都圏一極集中から、通勤負担や生活費負担の低い地域・地方を拠点とした「暮らし」、「働き方」への需要が高まったことも追い風となり、利用希望者からの新規申込みに関する問合せが増加しています。
現在は、ワーケーション施設の利用とホテル宿泊が一体となったサブスクリプション型法人向けサービスも提供しているほか、オリジナルビールの製造・販売や十勝の食材を活かしたローカルフードの提供、地元飲食事業者とのサービス連携を強化するなど、地域ならではの強みを生かした「体験価値」の提供に取り組んでいます。
同社は、ワーケーション施設の構築・運営をはじめ、「地域商社」として、商品の開発や販売、イベントの開催などを行っています。また、人材育成や女性活躍促進などへのサポートの実践を通じて、地域内のコミュニケーションの活性化を図り、ゆくゆくは、地元住民と利用者の暮らしのイノベーションにつなげることを目指しています。坂口社長は、「全国の人が十勝に来たくなるようなプログラムを組み、人の豊かさを形成できるよう力を入れている」と語ります。
宿泊・飲食業は、コロナ禍における移動制限等により大きな打撃を受け、前例のない状況に陥っています。しかし、それだけに逆に新たなビジネスチャンスもあると考えています。自社のみで乗り切ろうとするのではなく、他社や自治体等との連携・協力を推進していくことが大切なのではないでしょうか。当社は、今後も「十勝シティデザイン」という社名が示すとおり、人と人とが交流する場となるホテルの機能を活かし、地域の魅力や可能性を表現・発信する取組を継続していきます。