トライアンドエラーで掴んだ新たなビジネスの可能性

株式会社FULLCOMMISSION(札幌市北区)

“世界中の旅人に「ローカル」との出会いを”がコンセプトのホテル

2011年設立
・従業員10
・不動産企画開発事業、国内事業、海外事業、人材紹介事業
https://f-commission.com/

コロナの影響で宿泊事業の売上はほぼゼロに

 同社は"世界中の旅人に「ローカル」との出会いを"というコンセプトのもと、北海道のほか、ベトナム・タンザニア・メキシコで7店舗のホテルを運営していましたが、コロナ禍となり宿泊客はほぼゼロとなりました。

 既存のホテルをワーケーションやマンスリー住宅等として活用を始めましたが、落ち込んだ売上の確保と収益を維持するには至らず、新規事業の検討を行うこととしました。

数多くの試行錯誤を経て不動産リノベーション販売に行き着く

 同社が保有する資産や資源、長所といった「アセット」を洗い出し、社員で新規事業を検討したところ、具体的な事業プランが20以上集まりました。その全てにチャレンジし、多くは失敗や断念せざるを得ませんでしたが、このうち、中古住宅のリノベーション販売が軌道に乗り、「札幌リノベーションスタジオ」として事業化することができました。

 山崎社長は「運営しているホテルも自分たちでリノベーションしていたため、ノウハウを数多く持っていた。その経験を活かせた」と語ります。

 現在の主な購入層は2030代で、オシャレなデザインや機能性がニーズにマッチし、リノベーション事業を始めて2年目となりましたが、売上はコロナ禍前の宿泊事業の売上を上回るほど順調に伸びています。

札幌北口エリア開業にした新築無人ホテル「TENTOTEN」

会社のアセットを活かせる第三の収益源の創造を

 「札幌リノベーションスタジオ」の事業拡大はもちろんのこと、宿泊業では、コロナ禍で独自開発した無人チェックインシステムによる省人化・無人化による体制を強化し、"世界中の旅人に「ローカル」との出会いを"という人とコミュニケーションを取れる旅のスタイルのコンセプトに徐々に回帰するため、準備を進めています。

 今回、リノベーション事業で収益を確保できたことにより、コロナ禍の危機を乗り越えることができました。この経験を活かし、当社のアセットを活かせる第3の収益源となるような新事業を、社員全員で考え続けていきます。

不動産企画・開発事業「札幌リノベーションスタジオ」
代表取締役社長 山崎 明信 様

企業からひとこと

 コロナ禍となり、宿泊業など市場規模が縮小している場でいくら新しい取組を続けても多くの労力を要するだけで経営に与えるインパクトは小さいことが分かり、結果的にコロナ禍は新事業を創り出そうと考え直す良いキッカケになりました。会社や社員が持つノウハウや人的資源を最大限に生かし、可能性を模索し続けることが大切だと考えています。

2022年6月21日取材

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