株式会社 膳(利尻町)
・2017年設立
・従業員5名
・漁業、水産加工業、宿泊業
・http://rishiri-zen.jp/
同社では、本業の漁業とあわせて、高価格帯の浜ゆで毛蟹や塩水うに、利尻昆布といった水産加工品を観光客向けに販売していましたが、コロナの影響で売上は大きく減少しました。特に、海外クルーズ船の寄港がなくなり、乗船客向けの売上がゼロになったほか、外食控えが続いたこともあって京都の料亭やレストランへの納入も減少しました。
同社は、対面販売による売上減を補うため、ネット通販を強化しました。以前は、送料が高くつくことからあまり力を入れていませんでしたが、「家飲み」などの需要増加と「非接触」の宅配に対する消費者の意識変化もあり、売上が伸びました。
2022年7月にプライベート型の高級ヴィラ「Villa Kamui」を開業し、かねてより構想していた宿泊業へ進出することになりました。「島の旅をゆっくりと贅沢に楽しみたい」という客層の期待に応えるため、1日1組限定の1棟貸切型宿泊施設を建設。食事は島で取れた海産物や道内産の食材を使い、インテリアは旭川家具をはじめとした製品で揃えるなど、利尻と北海道に徹底的にこだわっています。価格は1組(4名まで)15万円/泊~ですが、既に国内外から予約が入っています。
同社では、本業である漁業・水産加工業と新たに始める宿泊業を両立し、「漁師による6次産業化の実現」を目指しています。小坂社長は、「町内には利尻空港があり、新千歳空港や丘珠空港から約50分で訪れることができる。離島でありながら空港があるというのは、非常に大きなメリット。地域の事業者や行政と連携し、ポストコロナを意識して観光客を呼び込む必要がある。」と熱く語ります。今回の宿泊施設が軌道に乗った暁には、サービス内容のさらなる充実化はもちろん、多店舗展開も視野に入れています。
当社では、コロナ前から6次化を目指していましたが、コロナによって各種の取組や体制整備のスピード感が増したように感じています。6次化の根幹にあるのは「郷土愛」です。多くの人に利尻へ来てもらい、その魅力を肌で感じてもらえるよう、これからも積極的に新しい事業に取り組んでいきます。